チーズケーキを求める旅

病院のコンビニで、「チーズ好きのためのチーズケーキ」を見かけた。

好物だ。

今日は灌流固定だの学会スタッフだので忙しかったので、夜に買って食べようと決めた。
いつもはこんなに忙しくない。
もっと怠惰だ。

夜、ビッグボーイで夕食を食べコンビニを四軒まわった。
セブン
ローソン
ローソン
ローソン
違う店に入ったはずなのに、中の人間は同じに感じた。
彼らは何度もコンビニに入っては、デザートコーナーのみを見つめて店を出て行く男を見ていた。

結局、俺はチーズケーキを手に入れられなかった。
きっと、リトラクタブルの車に乗った奴が買い占めたに違いない。
あんな車に乗っている奴には一生敵わない。

四軒めの店に、不細工な夫婦がいた。
きっとあの二人に届くこともできない。

能ある鷹は爪を隠すというが、無能はなおさらだ。
無能な人間は無能を隠さなければ生きていけない。

無能は話し相手を欲する。
無能は母親を欲する。

無能は誰も持っていない何かを求めます。
滑稽にも。
愚かにも。
卑怯にも。

無能は最も難しい道を選び即座に諦めます。